消えない傷 39話
放課後の特別授業が終わる頃には外は真っ暗になり、
激しい雷雨が鳴り響いている。
北海道にも台風が上陸するかもしれないという
ニュースを今日の昼に見たのを秋月は思い出した。
普段では考えられない暴風雨と、こんな遅い時間に
生徒だけで帰して大丈夫だろうか、
秋月は少し考えたが結局、送っていく事にした。
暴風の中を秋月の運転するトヨタ・アルファードが
3人の男子生徒を乗せて走る。
秋月は教師になってすぐに、新車をローン購入した。
車の後部座席で3人の生徒がおしゃべりをしている。
数学のこと、学校の事、テレビやゲームの話題。
話の中に体育教師の小林の話も生徒から出た。
「あの先生は本当に嫌い。みんな嫌いだよね~」
ある生徒が言うと、秋月はルームミラーで
一盛のことをチラッと見る。
丸い大きな顔が苦笑いを浮かべている。
大きいのにコロコロとして、可愛いと秋月は思った。
学校から自宅が近い順番に周り、生徒を降ろしていく。
そして‥これを幸運というべきだろうか。
最後に車内には一盛だけが残る。
車内に二人だけ。…だが、それだけだ。
それ以上は、どうしようもない。
生徒と教師、あるいは子供と大人なのだ。
秋月は生徒への気持ちを押し殺し、運転に集中する。
二人が沈黙している。車内にも激しい雨の音がした。
秋月は考える。可愛い肥満生徒の一盛と二人きり、
こんなチャンスは2度と無いかもしれない…
それなのに……僕には出来ない…。
彼の横顔や身体に惹かれているのに。
その行為が社会から僕を抹殺するかもしれない。
そこまではいかなくても何かしらのペナルティや
偏見がつけられるだろう。
さらに一盛が僕を受け入れるとは考えれないし、
僕は彼を、無理やりに汚すような事はしたくない。
…結局このまま何も無く、良い先生として彼を
自宅に送り届けて自分も家に帰ろう。
そう思い、自分に言い聞かせた。
そしてルームミラーで再び一盛の顔をなんとなく見た。
ミラー越しに彼と目が合う。秋月はドキッとした。
だが、彼の表情はなんだか困ったような顔をしている。
赤信号で車を止める。
「どうかしたかな?」
秋月は後部座席を振り返り優しく質問した。
模範的な良い教師を演じよう。そうあるべきだ。
だが一盛の可愛らしい唇から出てきた言葉は、
そんな秋月の考えを簡単に消し去ってしまう。
「…せ、先生、見て‥ましたよね?…僕と、こ、小林先生‥のこと。」
暴風雨の中、青い光が一瞬だけ車内を照らす。
直後に地面が揺れるような轟音がどこかで鳴り響いた。
↓ ポチっとして押して、開いてくる窓を閉じる。
どうかよろしく m(._.)m お願いします。
激しい雷雨が鳴り響いている。
北海道にも台風が上陸するかもしれないという
ニュースを今日の昼に見たのを秋月は思い出した。
普段では考えられない暴風雨と、こんな遅い時間に
生徒だけで帰して大丈夫だろうか、
秋月は少し考えたが結局、送っていく事にした。
暴風の中を秋月の運転するトヨタ・アルファードが
3人の男子生徒を乗せて走る。
秋月は教師になってすぐに、新車をローン購入した。
車の後部座席で3人の生徒がおしゃべりをしている。
数学のこと、学校の事、テレビやゲームの話題。
話の中に体育教師の小林の話も生徒から出た。
「あの先生は本当に嫌い。みんな嫌いだよね~」
ある生徒が言うと、秋月はルームミラーで
一盛のことをチラッと見る。
丸い大きな顔が苦笑いを浮かべている。
大きいのにコロコロとして、可愛いと秋月は思った。
学校から自宅が近い順番に周り、生徒を降ろしていく。
そして‥これを幸運というべきだろうか。
最後に車内には一盛だけが残る。
車内に二人だけ。…だが、それだけだ。
それ以上は、どうしようもない。
生徒と教師、あるいは子供と大人なのだ。
秋月は生徒への気持ちを押し殺し、運転に集中する。
二人が沈黙している。車内にも激しい雨の音がした。
秋月は考える。可愛い肥満生徒の一盛と二人きり、
こんなチャンスは2度と無いかもしれない…
それなのに……僕には出来ない…。
彼の横顔や身体に惹かれているのに。
その行為が社会から僕を抹殺するかもしれない。
そこまではいかなくても何かしらのペナルティや
偏見がつけられるだろう。
さらに一盛が僕を受け入れるとは考えれないし、
僕は彼を、無理やりに汚すような事はしたくない。
…結局このまま何も無く、良い先生として彼を
自宅に送り届けて自分も家に帰ろう。
そう思い、自分に言い聞かせた。
そしてルームミラーで再び一盛の顔をなんとなく見た。
ミラー越しに彼と目が合う。秋月はドキッとした。
だが、彼の表情はなんだか困ったような顔をしている。
赤信号で車を止める。
「どうかしたかな?」
秋月は後部座席を振り返り優しく質問した。
模範的な良い教師を演じよう。そうあるべきだ。
だが一盛の可愛らしい唇から出てきた言葉は、
そんな秋月の考えを簡単に消し去ってしまう。
「…せ、先生、見て‥ましたよね?…僕と、こ、小林先生‥のこと。」
暴風雨の中、青い光が一瞬だけ車内を照らす。
直後に地面が揺れるような轟音がどこかで鳴り響いた。
↓ ポチっとして押して、開いてくる窓を閉じる。
どうかよろしく m(._.)m お願いします。