消えない傷 38話
眠気に耐えながら授業を受ける駿。
昨日は夜中までずっと創太とお互いの身体を
狂ったように求めあった。
たった一晩だったが駿も創太も夢中になった。
だが創太は今日、東京に帰らなければならない。
空港まで見送りに行きたかったが、学校を休む事を
両親に許して貰えず、朝、家を出る前に二人は
抱き合い、別れを惜しんだ。そして駿は思う。
離れる事は本当に辛いけど、大切な人が出来たことは
とても嬉しい。なんだか一人ぼっちではない気がして、
心の奥が暖かい感じがする。
相手が男の子である事に戸惑いはあるが、それ以上に
駿はこれほどまで好きな人がいる事が、幸せだった。
出来ればこの気持ちを、親友である酒井に伝えたいが、
それは絶対に出来ない。
真面目なスポーツ青年の酒井に、
もしも同性を好きなったと言ったら‥
想像しただけで駿は怖くなった。
親友を失いたくない。
そしてまた眠気に耐えながら、重たくなっていく瞼で
黒板を見る。黒板には数式がいくつか書いてある。
授業は数学。教師は秋月だった。
秋月は丁寧に説明を加えながら授業を進めていた。
「ではこの問題を皆さん、それぞれ考えてみてください。10分後に答えあわせです。早く終わった人は次の問題に挑戦しましょう。」
そう言って教卓につくと、自分は別のクラスのテストを
採点し始める。2年生のテストだ。
機械のように凄いスピードでマルとレ点をつける秋月。
秋月はテストを高速で採点しながら心では、
あの肥満生徒の事を思い浮かべていた。
おそらく二年生の中でも一番、
大きな身体をしているだろうか。
身長もけっこう高いし、かなりのデブだ。
肌が白くて信じられないほどキレイだった。
そういえば、このクラスにも可愛いデブ君がいたな。
そう思い出して、鈴木駿をチラッと見た。
随分、眠そうだ。それはそれで‥また可愛い。
鈴木君はチビデブ君で、あの子は大デブ君だな、
秋月はとくに表情を変えることもなく、
機械のように採点をしながら、そんな事を考えた。
だが、ある時、秋月の手が急に止まる。
たくさんのテスト用紙の中で、やけに点数の低い
答案用紙があったのだ。秋月は氏名を確認する。
「一盛 光(いちもり ひかる)・・・」
…一盛‥って、これは‥間違えない。あの肥満生徒だ。
数日前に2年の授業を行なった際に偶然にも
出会った際に、名前を確認していたのだ。
あの肥満生徒、一盛の答案用紙であることに
気がついた途端に、なぜか秋月の心は落ち着かない。
いつも冷静な秋月には珍しいことだった。
たしか本来2年を担当している数学教師が
30点未満の生徒は放課後、特別授業をして、
追試と言っていた。一盛の点数は25点だった。
翌日の放課後。
普段、使われていない教室で数学の特別授業が
開催された。教壇には秋月の姿がある。
本来担当の数学教師に、自分が授業を請け負った
範囲もテストに出題されているので秋月自身にも
教え方など、反省になるかもしれない。
だから放課後の特別授業を自分にやらせて欲しい、
そう頼んだ。数学教師は快く、特別授業を秋月に
任せると同時に勉強熱心な秋月に感心していた。
特別授業には3人の生徒が参加している。
その中には、あの一盛のちょっと不安そうな姿がある。
↓ ポチっとして押して、開いてくる窓を閉じる。
よろしく m(._.)m お願いします。
昨日は夜中までずっと創太とお互いの身体を
狂ったように求めあった。
たった一晩だったが駿も創太も夢中になった。
だが創太は今日、東京に帰らなければならない。
空港まで見送りに行きたかったが、学校を休む事を
両親に許して貰えず、朝、家を出る前に二人は
抱き合い、別れを惜しんだ。そして駿は思う。
離れる事は本当に辛いけど、大切な人が出来たことは
とても嬉しい。なんだか一人ぼっちではない気がして、
心の奥が暖かい感じがする。
相手が男の子である事に戸惑いはあるが、それ以上に
駿はこれほどまで好きな人がいる事が、幸せだった。
出来ればこの気持ちを、親友である酒井に伝えたいが、
それは絶対に出来ない。
真面目なスポーツ青年の酒井に、
もしも同性を好きなったと言ったら‥
想像しただけで駿は怖くなった。
親友を失いたくない。
そしてまた眠気に耐えながら、重たくなっていく瞼で
黒板を見る。黒板には数式がいくつか書いてある。
授業は数学。教師は秋月だった。
秋月は丁寧に説明を加えながら授業を進めていた。
「ではこの問題を皆さん、それぞれ考えてみてください。10分後に答えあわせです。早く終わった人は次の問題に挑戦しましょう。」
そう言って教卓につくと、自分は別のクラスのテストを
採点し始める。2年生のテストだ。
機械のように凄いスピードでマルとレ点をつける秋月。
秋月はテストを高速で採点しながら心では、
あの肥満生徒の事を思い浮かべていた。
おそらく二年生の中でも一番、
大きな身体をしているだろうか。
身長もけっこう高いし、かなりのデブだ。
肌が白くて信じられないほどキレイだった。
そういえば、このクラスにも可愛いデブ君がいたな。
そう思い出して、鈴木駿をチラッと見た。
随分、眠そうだ。それはそれで‥また可愛い。
鈴木君はチビデブ君で、あの子は大デブ君だな、
秋月はとくに表情を変えることもなく、
機械のように採点をしながら、そんな事を考えた。
だが、ある時、秋月の手が急に止まる。
たくさんのテスト用紙の中で、やけに点数の低い
答案用紙があったのだ。秋月は氏名を確認する。
「一盛 光(いちもり ひかる)・・・」
…一盛‥って、これは‥間違えない。あの肥満生徒だ。
数日前に2年の授業を行なった際に偶然にも
出会った際に、名前を確認していたのだ。
あの肥満生徒、一盛の答案用紙であることに
気がついた途端に、なぜか秋月の心は落ち着かない。
いつも冷静な秋月には珍しいことだった。
たしか本来2年を担当している数学教師が
30点未満の生徒は放課後、特別授業をして、
追試と言っていた。一盛の点数は25点だった。
翌日の放課後。
普段、使われていない教室で数学の特別授業が
開催された。教壇には秋月の姿がある。
本来担当の数学教師に、自分が授業を請け負った
範囲もテストに出題されているので秋月自身にも
教え方など、反省になるかもしれない。
だから放課後の特別授業を自分にやらせて欲しい、
そう頼んだ。数学教師は快く、特別授業を秋月に
任せると同時に勉強熱心な秋月に感心していた。
特別授業には3人の生徒が参加している。
その中には、あの一盛のちょっと不安そうな姿がある。
↓ ポチっとして押して、開いてくる窓を閉じる。
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