ニクツキ54
田中悠の思わぬ問いに、
慌てて、目を擦りながら応える桜井。
「えっ、な、なんでもないよ‥‥」
だが、桜井の様子から
普段とは違うことは悠にもすぐに解った。
「‥‥本当に、どうしたんですか?」
悠が桜井にもう一度尋ねる。
すると子供のような上級生である、
桜井の瞳から一筋の涙がこぼれた。
「えっ‥‥」
突然のことに今度は悠が驚かされたが、
悠はすぐに桜井に駆け寄る‥‥
「さ、桜井先輩……」
桜井を心配しながらもどうしたら良いか、
戸惑う悠。その様子をずっと悠の背後から
見ていた青野が、そっと桜井にハンカチを
差し出す。
「‥‥えっ‥‥あ、ありがとう。」
涙を腕で拭いながらハンカチを受け取る
桜井に、ほんのわずかに笑顔で返す青野。
桜井の顔にも小さな笑顔が戻るのも見た悠は、
青野の事を頼もしく感じた。
すると玄関口の方から複数の生徒の声が
聞こえてくる。恐らく何かの運動部が、
外練習に出てきたのだろう。
「ここはまだ他の生徒も通るね‥‥。話がしたいなら場所をかえようか?」
青野の提案に、悠はすぐに頷いた。
桜井はかなり悩んでいるようだが、
ようやく絞り出すように言う。
「う、うーん……わかった……」
そして3人は多くの生徒が
利用している駅と、学校とのちょうど
中間地点に位置している大手チェーンの
ファーストフード店に移動した。
この店を選んだのは、最近この店の近くに、
新しく洒落た雰囲気のファーストフード店が
出来たので、昔からあるこの店を利用する
生徒が激減している為だ。
ゆっくり話すのには都合が良い。
店につくと案の定、店内に他の客はいない。
3人はそれぞれセットメニューを注文すると、
店の一番奥にあるテーブルについた。
ここまで歩いてくる道中で桜井の様子も
落ち着いたようなので、悠はハンバーガーを
頬ばると、あっという間に食べてしまった。
それを見ていた桜井がクスクスと笑う。
青野も笑いながらアイスコーヒーを飲む。
「へへっ‥‥お腹すいてたんだよね。」
悠が恥ずかしそうに笑う。
3人は食事をしながら何気ない話をし、
落ち着いた頃に、桜井がゆっくりと
本題について話し始めた。
「じつは……」
桜井は自分や相撲部で好き放題な行動をする
池田の事を語り始めた。
その話を聞いて最初に驚いたのは悠だった。
【池田って……】
誰にも言っていないが、悠は以前に
池田と佐伯という二人の生徒に、
公園のトイレで、射精させられた事がある。
【アイツ‥‥みんなにひどい事をしているのか‥‥】
話しながら再び子供っぽい瞳に涙を浮かべる
桜井の話を熱心に聞く悠。
桜井の話が終わると、すぐに悠が言う。
「それはひどい。‥‥なんとかしなきゃ。」
その言葉に頷きながら、青野が言う。
「そうだね‥‥。でも、どうする?」
すると悠は、しばらく考えた後に、
決心したように力強く、言う。
「直接、会いに言って話す。そうすれば解ってくれる!」
それを聞いた青野は複雑な表情になった。
直接話せば解ってくれる……
果たしてそうなのか?何か他に方法は‥‥
思案を巡らす青野の横で、悠が言う。
「今日はまだ学校にいるかな?」
桜井が一瞬、考えてから答える。
「多分だけど、もういないんじゃないかな……」
「そう。じゃあ明日、3人で話に行こう!」
悠が言うと、桜井は嬉しそうに頷いた。
青野だけは二人のテンションに乗りきれず、
悩んでいたが最終的には、
悠に従ってみることにしたのだった。
慌てて、目を擦りながら応える桜井。
「えっ、な、なんでもないよ‥‥」
だが、桜井の様子から
普段とは違うことは悠にもすぐに解った。
「‥‥本当に、どうしたんですか?」
悠が桜井にもう一度尋ねる。
すると子供のような上級生である、
桜井の瞳から一筋の涙がこぼれた。
「えっ‥‥」
突然のことに今度は悠が驚かされたが、
悠はすぐに桜井に駆け寄る‥‥
「さ、桜井先輩……」
桜井を心配しながらもどうしたら良いか、
戸惑う悠。その様子をずっと悠の背後から
見ていた青野が、そっと桜井にハンカチを
差し出す。
「‥‥えっ‥‥あ、ありがとう。」
涙を腕で拭いながらハンカチを受け取る
桜井に、ほんのわずかに笑顔で返す青野。
桜井の顔にも小さな笑顔が戻るのも見た悠は、
青野の事を頼もしく感じた。
すると玄関口の方から複数の生徒の声が
聞こえてくる。恐らく何かの運動部が、
外練習に出てきたのだろう。
「ここはまだ他の生徒も通るね‥‥。話がしたいなら場所をかえようか?」
青野の提案に、悠はすぐに頷いた。
桜井はかなり悩んでいるようだが、
ようやく絞り出すように言う。
「う、うーん……わかった……」
そして3人は多くの生徒が
利用している駅と、学校とのちょうど
中間地点に位置している大手チェーンの
ファーストフード店に移動した。
この店を選んだのは、最近この店の近くに、
新しく洒落た雰囲気のファーストフード店が
出来たので、昔からあるこの店を利用する
生徒が激減している為だ。
ゆっくり話すのには都合が良い。
店につくと案の定、店内に他の客はいない。
3人はそれぞれセットメニューを注文すると、
店の一番奥にあるテーブルについた。
ここまで歩いてくる道中で桜井の様子も
落ち着いたようなので、悠はハンバーガーを
頬ばると、あっという間に食べてしまった。
それを見ていた桜井がクスクスと笑う。
青野も笑いながらアイスコーヒーを飲む。
「へへっ‥‥お腹すいてたんだよね。」
悠が恥ずかしそうに笑う。
3人は食事をしながら何気ない話をし、
落ち着いた頃に、桜井がゆっくりと
本題について話し始めた。
「じつは……」
桜井は自分や相撲部で好き放題な行動をする
池田の事を語り始めた。
その話を聞いて最初に驚いたのは悠だった。
【池田って……】
誰にも言っていないが、悠は以前に
池田と佐伯という二人の生徒に、
公園のトイレで、射精させられた事がある。
【アイツ‥‥みんなにひどい事をしているのか‥‥】
話しながら再び子供っぽい瞳に涙を浮かべる
桜井の話を熱心に聞く悠。
桜井の話が終わると、すぐに悠が言う。
「それはひどい。‥‥なんとかしなきゃ。」
その言葉に頷きながら、青野が言う。
「そうだね‥‥。でも、どうする?」
すると悠は、しばらく考えた後に、
決心したように力強く、言う。
「直接、会いに言って話す。そうすれば解ってくれる!」
それを聞いた青野は複雑な表情になった。
直接話せば解ってくれる……
果たしてそうなのか?何か他に方法は‥‥
思案を巡らす青野の横で、悠が言う。
「今日はまだ学校にいるかな?」
桜井が一瞬、考えてから答える。
「多分だけど、もういないんじゃないかな……」
「そう。じゃあ明日、3人で話に行こう!」
悠が言うと、桜井は嬉しそうに頷いた。
青野だけは二人のテンションに乗りきれず、
悩んでいたが最終的には、
悠に従ってみることにしたのだった。