ニクツキ53
紅い空に、雲が溶けるように広がっている。
いくつかの建物が入り組む校舎内にも
夕陽が差し込んでいる。
相撲部の担当顧問に新入部員の報告を終えて
校舎本館から戻ってきた桜井音哉。
桜井は丸く太った、可愛い子供のようで、
2年生とは思えない。顔もかなり中性的だ。
「池田と‥‥あの子、……なんだっけ?…あ、篠原くんだ!イイ子にしてるかなぁ……」
急ぎ足で部室へと戻った桜井。
だが、ドアを開けて室内に入った途端、
すぐに驚いて声をあげてしまう。
「なななな、何やってんの!?」
そこには全裸の篠原と、その股間を靴ベラで
打っている池田がいたのだ。
二人の周囲の床には幾つかの白濁した液体。
桜井に気がついた篠原が慌てて身体を隠す。
「おぉ、桜井か。コイツ、すげえ変態だぞ!!」
そう言って笑いながら振り返った池田だが、
背後に立つ桜井は怒りに震えている。
だが、その事に気がついた池田は
悪びれる様子もなく、やれやれ、とでも
言いたそうに首を振る。
「ふぅ…、何を怒ってるんだよ?」
「……怒るに決まってるでしょ。ここでそんな事、しないでよ!!」
桜井が言うと、
池田は大きな声で笑いながら言う。
「お前だってココで俺とヤッたくせに。オイ、篠原。この桜井ってヤツはなぁ。子供みたいな顔してるけどなぁ。尻にチンポ入れると途端にあえぐ、ド淫乱なんだぜ?」
池田の言葉に、桜井の子供のような顔が
真っ赤になっていく。
そして両目に涙を浮かべると、
部室から飛び出して行ってしまった。
「ちっ、なんだよ桜井のヤツ。まぁ、いいや。しばらくは、この部室で篠原と桜井で遊べるな。はっはっはっ!!」
そう言うと、再び靴ベラで
篠原の豊満な身体を打った。
一方、外に飛び出した桜井は
校舎本館の方へ走っていた。
行き先があるわけではない。
ただあの場から離れたかったのだ。
【やっぱり池田なんて大ッ嫌い‥‥!!】
心の中で叫びながら頬をつたい、
溢れる涙を腕で拭う。
しばらく走ったが、疲れて息が切れてきたので
走るのを止め、トボトボと歩く桜井。
【‥‥でも、どうしよう。部室をあんな事に使われて。アイツこれからも居座るつもりなんだろうな……ど、どうしよぉ…。】
思案しながら歩いている桜井は、
気がつくと校舎本館の玄関口付近まで
来てしまっていた。
もう、部活をしていない生徒はほとんど
帰った時間なので生徒は誰もいなかった。
それでも誰かに泣いているところを
見られたくない桜井は、もっと人が来ない
ような場所に移動しようと思った。
……だが、その時。
「……あれ、……桜井先輩?」
玄関から出てきた生徒が桜井を呼ぶ。
その生徒は田中悠。悠の背後にもう一人、
同じような体型をしていてメガネをかけた
生徒もいる。
桜井は急いで、涙を拭いながら
自然を装って言う。
「あぁ、田中クン。‥‥こんにちは。今、帰り?意外と遅いんだね。」
田中は苦笑いをしながら答える。
「はい、体育祭の委員になっちゃって。その準備で‥‥。あ、彼は同じクラスの青野君です。」
悠がそう言うと、背後にいた青野が
小さく頭を下げてニコリと、
自然な笑みを見せる。
桜井は青野の事を1年生なのに、
とてもしっかりした好青年だなぁ、と
感心してしまっていたが、
青野の黒縁メガネの奥にある瞳は
桜井と田中悠の二人を交互に見て、
何か考えているようだった。
二人がその事に気づく前に、
田中悠が桜井に気になっていた事を
そっと丁寧に尋ねた。
「ところで、桜井先輩。勘違いだったら申し訳ないんですけど‥‥いま、泣いてませんでした?」
いくつかの建物が入り組む校舎内にも
夕陽が差し込んでいる。
相撲部の担当顧問に新入部員の報告を終えて
校舎本館から戻ってきた桜井音哉。
桜井は丸く太った、可愛い子供のようで、
2年生とは思えない。顔もかなり中性的だ。
「池田と‥‥あの子、……なんだっけ?…あ、篠原くんだ!イイ子にしてるかなぁ……」
急ぎ足で部室へと戻った桜井。
だが、ドアを開けて室内に入った途端、
すぐに驚いて声をあげてしまう。
「なななな、何やってんの!?」
そこには全裸の篠原と、その股間を靴ベラで
打っている池田がいたのだ。
二人の周囲の床には幾つかの白濁した液体。
桜井に気がついた篠原が慌てて身体を隠す。
「おぉ、桜井か。コイツ、すげえ変態だぞ!!」
そう言って笑いながら振り返った池田だが、
背後に立つ桜井は怒りに震えている。
だが、その事に気がついた池田は
悪びれる様子もなく、やれやれ、とでも
言いたそうに首を振る。
「ふぅ…、何を怒ってるんだよ?」
「……怒るに決まってるでしょ。ここでそんな事、しないでよ!!」
桜井が言うと、
池田は大きな声で笑いながら言う。
「お前だってココで俺とヤッたくせに。オイ、篠原。この桜井ってヤツはなぁ。子供みたいな顔してるけどなぁ。尻にチンポ入れると途端にあえぐ、ド淫乱なんだぜ?」
池田の言葉に、桜井の子供のような顔が
真っ赤になっていく。
そして両目に涙を浮かべると、
部室から飛び出して行ってしまった。
「ちっ、なんだよ桜井のヤツ。まぁ、いいや。しばらくは、この部室で篠原と桜井で遊べるな。はっはっはっ!!」
そう言うと、再び靴ベラで
篠原の豊満な身体を打った。
一方、外に飛び出した桜井は
校舎本館の方へ走っていた。
行き先があるわけではない。
ただあの場から離れたかったのだ。
【やっぱり池田なんて大ッ嫌い‥‥!!】
心の中で叫びながら頬をつたい、
溢れる涙を腕で拭う。
しばらく走ったが、疲れて息が切れてきたので
走るのを止め、トボトボと歩く桜井。
【‥‥でも、どうしよう。部室をあんな事に使われて。アイツこれからも居座るつもりなんだろうな……ど、どうしよぉ…。】
思案しながら歩いている桜井は、
気がつくと校舎本館の玄関口付近まで
来てしまっていた。
もう、部活をしていない生徒はほとんど
帰った時間なので生徒は誰もいなかった。
それでも誰かに泣いているところを
見られたくない桜井は、もっと人が来ない
ような場所に移動しようと思った。
……だが、その時。
「……あれ、……桜井先輩?」
玄関から出てきた生徒が桜井を呼ぶ。
その生徒は田中悠。悠の背後にもう一人、
同じような体型をしていてメガネをかけた
生徒もいる。
桜井は急いで、涙を拭いながら
自然を装って言う。
「あぁ、田中クン。‥‥こんにちは。今、帰り?意外と遅いんだね。」
田中は苦笑いをしながら答える。
「はい、体育祭の委員になっちゃって。その準備で‥‥。あ、彼は同じクラスの青野君です。」
悠がそう言うと、背後にいた青野が
小さく頭を下げてニコリと、
自然な笑みを見せる。
桜井は青野の事を1年生なのに、
とてもしっかりした好青年だなぁ、と
感心してしまっていたが、
青野の黒縁メガネの奥にある瞳は
桜井と田中悠の二人を交互に見て、
何か考えているようだった。
二人がその事に気づく前に、
田中悠が桜井に気になっていた事を
そっと丁寧に尋ねた。
「ところで、桜井先輩。勘違いだったら申し訳ないんですけど‥‥いま、泣いてませんでした?」