肉月~ニクツキ32
改札を出て、街を歩いている巨漢。
名前は柴田剛。
短く刈り上げた髪に、
本格的な力士を思わせる肉体。
身長は185センチで体重は150キロ。
ビームスのポロシャツとデニムパンツの
シンプルで飾らない服装でも
その肉体で十分に人目をひいてしまう。
柴田は太い眉毛の下にある、
細い目で再び、手元の携帯画面を見る。
微笑んでいる桜井の写真データ。
「…」
柴田は携帯の「切」ボタンを押して、
画面を閉じた。そしてポケットにしまい、
無表情のまま街を歩いていく。
その後、学校では授業が終わり、
生徒達が部活に向かったり、帰宅したり
各々の居場所へと向かっていく。
その中に相田宗助の姿もあった。
友達数名とふざけ話しをしながら、
歩いている。友達は細いヤツもいれば
大きな身体のヤツをいるが、
その中でも宗助は不思議な存在感というか、
輝きがある。太っていても間違いなく。
肌が白くて男子とは思えない程に
もちもちとしてキレイ。
大きくてぱっちりとした瞳。
それでいて時折見せる少年らしい、
わんぱくな笑顔。
サラサラとした髪が輝いている。
「じゃあな、宗助。帰ったらアドホックで狩るぞぉ!!メールするからな~」
「おぉ!!わかった~!!」
宗助は笑顔で友人達と別れ、
自宅へと入っていく。
宗助の家は悠と同じで一般的な家庭だ。
金持ちでもなければ貧しくもない。
ありふれた家庭。
だが、宗助は玄関に見慣れない靴が
ある事に気付く。随分大きい靴だ。
母親が誰かと話している声がする。
宗助は誰だろうと思いながら
ドアを開けると、そこには柴田剛がいる。
「…えっ、剛さん!?久しぶりだね!!」
宗助の驚く声に柴田が微かに口元を緩めて
笑顔を返す。
「久しぶりだな、宗助。…ちょっと大きくなったか?」
「ははは。剛さんはいつの俺を思い出しているの?小学生の頃でしょ?よく遊んでもらったもんね、俺。」
宗助は懐かしそうに言う。
柴田も同じように応える。
「あぁ、そうだな。宗助。」
「でも今は大学でどこか遠くにいるって聞いてたけど…どうしたの急に?」
宗助が不思議そうに言うと、
柴田が頭をかきながら応える。
「あぁ、親戚が危篤って言うんで急いで戻ったんだけどな…
病院に行ったらすっかり、回復してて…まぁ良かったんだが。
その後に、実家に寄ろうと思ったら誰もいなくて鍵がかかってて。」
宗助が笑いながら言う。
「それで隣のウチに久しぶりに挨拶にきた…ってこと?」
柴田は苦笑いで応える。
「いや、家の玄関の前でどうしようかと思ってたらお前のお母さんが声をかけてくれてな…」
「ははは。良かったよ。剛さんに会えて。そうだ俺の部屋でもっと話してよ。大学の事とか…ね、いいでしょ?」
そうして宗助と柴田は近況や昔話を
数時間も話した。柴田が時計を見ながら言う。
「そろそろ…誰か帰って来たかな。」
すると宗助が残念そうに言う。
「えぇ。剛さん帰っちゃうの?うーん、まぁ、しょうがないか。実家にも顔出さないとね。」
柴田は立ち上がり、宗助を見下ろしながら言う。
「宗助のおかげで楽しかったよ。またな。」
すると宗助が満面の笑みで応える。
「うん!!俺も楽しかったよ!!…俺ね、小さい頃、剛さんみたいになりたかった。大きくて強くて…」
「宗助…」
その言葉に柴田は困ったような顔をしている。
宗助はニコリと笑って言う。
「まぁ、大きくも強くもなれなかったけどね。へへ。でも剛さんはずっと憧れだから!!また遊びに来てね!!」
柴田は静かにニコリと笑って返した。
そして柴田は実家に帰り、
家族と少し再会の談笑をした。
そして久しぶりの自室で、
また携帯の画面を眺めていた。
画面は「メールの作成」。
あて先は桜井のメールアドレスだ。
柴田は何も本文を入力できずに、
ただ画面を眺めたまま。
大きな身体はずっと動かなかった。
その頃、桜井は池田に呼び出されていた。
↑ 読んだらポチッと押して下さいませ。
(お金とかはかかりません。個人情報も大丈夫♪)
おかげさまでランキング上昇中!!(感謝)
名前は柴田剛。
短く刈り上げた髪に、
本格的な力士を思わせる肉体。
身長は185センチで体重は150キロ。
ビームスのポロシャツとデニムパンツの
シンプルで飾らない服装でも
その肉体で十分に人目をひいてしまう。
柴田は太い眉毛の下にある、
細い目で再び、手元の携帯画面を見る。
微笑んでいる桜井の写真データ。
「…」
柴田は携帯の「切」ボタンを押して、
画面を閉じた。そしてポケットにしまい、
無表情のまま街を歩いていく。
その後、学校では授業が終わり、
生徒達が部活に向かったり、帰宅したり
各々の居場所へと向かっていく。
その中に相田宗助の姿もあった。
友達数名とふざけ話しをしながら、
歩いている。友達は細いヤツもいれば
大きな身体のヤツをいるが、
その中でも宗助は不思議な存在感というか、
輝きがある。太っていても間違いなく。
肌が白くて男子とは思えない程に
もちもちとしてキレイ。
大きくてぱっちりとした瞳。
それでいて時折見せる少年らしい、
わんぱくな笑顔。
サラサラとした髪が輝いている。
「じゃあな、宗助。帰ったらアドホックで狩るぞぉ!!メールするからな~」
「おぉ!!わかった~!!」
宗助は笑顔で友人達と別れ、
自宅へと入っていく。
宗助の家は悠と同じで一般的な家庭だ。
金持ちでもなければ貧しくもない。
ありふれた家庭。
だが、宗助は玄関に見慣れない靴が
ある事に気付く。随分大きい靴だ。
母親が誰かと話している声がする。
宗助は誰だろうと思いながら
ドアを開けると、そこには柴田剛がいる。
「…えっ、剛さん!?久しぶりだね!!」
宗助の驚く声に柴田が微かに口元を緩めて
笑顔を返す。
「久しぶりだな、宗助。…ちょっと大きくなったか?」
「ははは。剛さんはいつの俺を思い出しているの?小学生の頃でしょ?よく遊んでもらったもんね、俺。」
宗助は懐かしそうに言う。
柴田も同じように応える。
「あぁ、そうだな。宗助。」
「でも今は大学でどこか遠くにいるって聞いてたけど…どうしたの急に?」
宗助が不思議そうに言うと、
柴田が頭をかきながら応える。
「あぁ、親戚が危篤って言うんで急いで戻ったんだけどな…
病院に行ったらすっかり、回復してて…まぁ良かったんだが。
その後に、実家に寄ろうと思ったら誰もいなくて鍵がかかってて。」
宗助が笑いながら言う。
「それで隣のウチに久しぶりに挨拶にきた…ってこと?」
柴田は苦笑いで応える。
「いや、家の玄関の前でどうしようかと思ってたらお前のお母さんが声をかけてくれてな…」
「ははは。良かったよ。剛さんに会えて。そうだ俺の部屋でもっと話してよ。大学の事とか…ね、いいでしょ?」
そうして宗助と柴田は近況や昔話を
数時間も話した。柴田が時計を見ながら言う。
「そろそろ…誰か帰って来たかな。」
すると宗助が残念そうに言う。
「えぇ。剛さん帰っちゃうの?うーん、まぁ、しょうがないか。実家にも顔出さないとね。」
柴田は立ち上がり、宗助を見下ろしながら言う。
「宗助のおかげで楽しかったよ。またな。」
すると宗助が満面の笑みで応える。
「うん!!俺も楽しかったよ!!…俺ね、小さい頃、剛さんみたいになりたかった。大きくて強くて…」
「宗助…」
その言葉に柴田は困ったような顔をしている。
宗助はニコリと笑って言う。
「まぁ、大きくも強くもなれなかったけどね。へへ。でも剛さんはずっと憧れだから!!また遊びに来てね!!」
柴田は静かにニコリと笑って返した。
そして柴田は実家に帰り、
家族と少し再会の談笑をした。
そして久しぶりの自室で、
また携帯の画面を眺めていた。
画面は「メールの作成」。
あて先は桜井のメールアドレスだ。
柴田は何も本文を入力できずに、
ただ画面を眺めたまま。
大きな身体はずっと動かなかった。
その頃、桜井は池田に呼び出されていた。
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