肉月~ニクツキ 31
柔らかい陽光が差し込む教室。
悠は斜め前の席に座っている、
宗助を眺めて溜息をつく。
黒板を使って教師が中世の西欧について
大まかな概要を語っている。
歴史の授業は悠にとって比較的楽しい。
だが、今日は授業をゆっくりと
聞いていられなかった。
昨日の事を思い出す。
昨日、公園のトイレで見た自分の瞳。
見間違いではない。赤く光っていた。
そして恐らく赤い石が関係していると
なんとなく悠は思う。他には考えられない。
悠はすぐに首にかけた麻紐も胸から引き出す。
麻紐の先端は網状の袋になっており、
中には赤い石が入っている。
それを見つめながら悠は心の中で
赤い石に語りかけようとした…その時。
【聞きたい事は解ってるさ…、たまたま見てた。】
悠は突然のことに驚いた。
同時に少し気になる。
「たまたま見てた?」
…いつも見ているわけじゃない…?
【まぁ…どうでもいい事さ。寝てるとでもしとけ。本題は目の話だろ…?】
石の言うとおりだった。
今は自分の身に起きていることを
確認したいと悠は思った。
【どこから話せば良いんだろうなぁ。
…俺たち赤い石を持ったヤツの中には
お前みたいに赤い目を持つヤツが出て来ることがある。】
悠はそこで思わず、声を出してしまう。
「ちょっ、ちょっと待って!…俺たち赤い石って…他にもいるの?」
【…いるさ、多分な。話を続けるぞ。
まだコントロールできないようだが、
目はいずれ自分の意思で赤くしたり、
黒くしたり出来るようになる。
赤い目は相手を誘惑したり、
思考に影響する事が出来るのさ。】
誘惑?思考に影響?
可能なのかそんな事が…。
だが悠は石が言うなら恐らく
間違いないと思った。
教師の思考を操って見せた、
心に語りかけてくる赤い石なのだ。
悠は赤い石に問う。
「もし赤い目を使ったら…だ、代償は…?」
【何もない…って言いたいトコだが…ある。些細なことだが。】
悠はゴクリと喉を鳴らす。
もしかして…魂を奪われるとか…
【通常以上に性欲が沸き起こる。まぁ、それだけだ。】
石の言葉を理解できないのか、
悠はしばらく考えてから
思わず呟いてしまう。
「…欲情しちゃう‥だけ?」
石は返事をしなかった。
その後、家に帰ってからも話しかけたが
黙ったままだった。
そしてベッドに入り、悠は一人で考える。
もし宗助君の気持ちを操作できたら…
ほんの少しでも良い…
僕を好きになってくれたら…
悠は首を横に振って思考を止めた。
いけない。それはいけない事だ。
人の気持ちを操るなんて、絶対にダメだ。
もう一度、頭を振ってから悠は眠りにつく。
そして今日。
悠は世界史の授業を受けている。
斜め前に座っている宗助を眺めながら。
窓から差し込む日差しで、
宗助のキレイな茶色の髪が輝く。
丸く白い頬と、ぱっちりとした瞳。
悠には宗助が神聖にすら感じられたし、
ぽっちゃりと太っているが間違いなく
カッコ良くて可愛いと悠は改めて思う。
…だが、彼は…
どうしても手の届かない存在。
そう思ったとき悠は無意識に…
赤い目を思い出して…はっ、と我に返る。
教師がチョークを粉にしながら
黒板に何か書いて説明している。
「中世西欧では‥魔術を使って悪いことをする者を処罰していた。それらは魔女狩りと呼ばれ…。」
悠は宗助を眺めたまま、
胸の奥にズキズキとした痛みと
やり場のない思いを抱いていた。
同じ頃、悠達の住む町の駅に電車が到着する。
大きなカバンを持った巨漢が
電車から降りてホームを歩いている。
男の顔には太い眉毛とかなり細い目。
その身体は大人2人分程の大きさは
あるだろうか。
無造作で無骨な男らしい巨漢。
男はポケットから携帯電話を取り出す。
この大男が持つと標準的なサイズの電話が
小さく見えてしまう。
その画面には豊満な美少年が
微笑む写真が映っていた。
↑ 読んだらポチッと押して下さいませ。
(お金とかはかかりません。個人情報も大丈夫♪)
おかげさまでランキング上昇中!!(感謝)
悠は斜め前の席に座っている、
宗助を眺めて溜息をつく。
黒板を使って教師が中世の西欧について
大まかな概要を語っている。
歴史の授業は悠にとって比較的楽しい。
だが、今日は授業をゆっくりと
聞いていられなかった。
昨日の事を思い出す。
昨日、公園のトイレで見た自分の瞳。
見間違いではない。赤く光っていた。
そして恐らく赤い石が関係していると
なんとなく悠は思う。他には考えられない。
悠はすぐに首にかけた麻紐も胸から引き出す。
麻紐の先端は網状の袋になっており、
中には赤い石が入っている。
それを見つめながら悠は心の中で
赤い石に語りかけようとした…その時。
【聞きたい事は解ってるさ…、たまたま見てた。】
悠は突然のことに驚いた。
同時に少し気になる。
「たまたま見てた?」
…いつも見ているわけじゃない…?
【まぁ…どうでもいい事さ。寝てるとでもしとけ。本題は目の話だろ…?】
石の言うとおりだった。
今は自分の身に起きていることを
確認したいと悠は思った。
【どこから話せば良いんだろうなぁ。
…俺たち赤い石を持ったヤツの中には
お前みたいに赤い目を持つヤツが出て来ることがある。】
悠はそこで思わず、声を出してしまう。
「ちょっ、ちょっと待って!…俺たち赤い石って…他にもいるの?」
【…いるさ、多分な。話を続けるぞ。
まだコントロールできないようだが、
目はいずれ自分の意思で赤くしたり、
黒くしたり出来るようになる。
赤い目は相手を誘惑したり、
思考に影響する事が出来るのさ。】
誘惑?思考に影響?
可能なのかそんな事が…。
だが悠は石が言うなら恐らく
間違いないと思った。
教師の思考を操って見せた、
心に語りかけてくる赤い石なのだ。
悠は赤い石に問う。
「もし赤い目を使ったら…だ、代償は…?」
【何もない…って言いたいトコだが…ある。些細なことだが。】
悠はゴクリと喉を鳴らす。
もしかして…魂を奪われるとか…
【通常以上に性欲が沸き起こる。まぁ、それだけだ。】
石の言葉を理解できないのか、
悠はしばらく考えてから
思わず呟いてしまう。
「…欲情しちゃう‥だけ?」
石は返事をしなかった。
その後、家に帰ってからも話しかけたが
黙ったままだった。
そしてベッドに入り、悠は一人で考える。
もし宗助君の気持ちを操作できたら…
ほんの少しでも良い…
僕を好きになってくれたら…
悠は首を横に振って思考を止めた。
いけない。それはいけない事だ。
人の気持ちを操るなんて、絶対にダメだ。
もう一度、頭を振ってから悠は眠りにつく。
そして今日。
悠は世界史の授業を受けている。
斜め前に座っている宗助を眺めながら。
窓から差し込む日差しで、
宗助のキレイな茶色の髪が輝く。
丸く白い頬と、ぱっちりとした瞳。
悠には宗助が神聖にすら感じられたし、
ぽっちゃりと太っているが間違いなく
カッコ良くて可愛いと悠は改めて思う。
…だが、彼は…
どうしても手の届かない存在。
そう思ったとき悠は無意識に…
赤い目を思い出して…はっ、と我に返る。
教師がチョークを粉にしながら
黒板に何か書いて説明している。
「中世西欧では‥魔術を使って悪いことをする者を処罰していた。それらは魔女狩りと呼ばれ…。」
悠は宗助を眺めたまま、
胸の奥にズキズキとした痛みと
やり場のない思いを抱いていた。
同じ頃、悠達の住む町の駅に電車が到着する。
大きなカバンを持った巨漢が
電車から降りてホームを歩いている。
男の顔には太い眉毛とかなり細い目。
その身体は大人2人分程の大きさは
あるだろうか。
無造作で無骨な男らしい巨漢。
男はポケットから携帯電話を取り出す。
この大男が持つと標準的なサイズの電話が
小さく見えてしまう。
その画面には豊満な美少年が
微笑む写真が映っていた。
↑ 読んだらポチッと押して下さいませ。
(お金とかはかかりません。個人情報も大丈夫♪)
おかげさまでランキング上昇中!!(感謝)