肉月~ニクツキ 03
朝の教室。
田中悠は不思議に思う。
相田宗助が登校してきただけで、
宗助を見ただけで、悠の心はじんわりと
温かくなる…。
クラスメイトではあるが、悠と宗助は
話しをした事も殆ど無い。
悠の一方的な片思い。
自分とでは釣り合わないからと諦めようと
何度も思ったが、そう思うたびに強くなる
宗助への秘めた想い。
しかし同姓というどうしようもない事実。
ただ何も出来ず、誰にも気付かれぬように
彼を見つめては悶々とする日々。
突然聞こえてくる声。
「…あぁ、アレをなんとかしたいわけか…。」
「うわっ!!」
悠は思わず声をあげてしまい、周囲にいた
女子の数名がクスクスと笑った。
悠は頬を赤くしたが、咳をしてごまかした。
学校に赤い石を持ってきたのは始めてだ。
つい忘れてしまっていた。
「アイツが欲しいんだろう?安心していいぜ。アイツはもうすぐお前のモノだ。」
赤い石の言葉をそのまま信じる事は
出来ないが、「何か」を期待している。
悠はそんな自分に戸惑いながら、
また宗助を見つめていた。
数日前の悠の部屋。
赤い石と悠が話をしていた。
「どう考えてもおかしな奇跡は起こせない。だが、偶然‥、あり得るような事は出来る。」
悠は意味は理解したが、それがどの程度か
想像できずにいた。そして尋ねる。
「…た、たとえば?」
「そうだな‥買っていない宝くじに当たる事は出来ない。だが、買った宝くじを当てることは出来る。」
悠は驚いたが、お金に執着がないのと、
この石の言う事を信じて大丈夫か?
という不安の方が強かった。
「あとは…人の意思をねじ曲げることは出来ない。しかし判断に迷うような本人にとって些細なことになら影響できる。」
悠はそれがどういう事なのか、
イマイチわからなかった。
それ以上に気になることがあった。
「…もし、何かして貰ったら、僕は…どうなるの?」
「何もない。俺はお前みたいなヤツの願いを叶える為の道具だからな。…まぁそっちは、気にしなくていい。」
数日後の教室。教壇に立つ担任教師。
ホームルームが行われている。
「体育祭の実行委員を誰にやってもらうかだけど‥やりたい人はいるかぁ?」
教師の言葉に反応する者はいない。
むしろ、殆どの生徒が教師と目をそらして
自分以外が実行委員になることを願った。
「うーん、どうしようかぁ…。あっ、そうだ。相田と田中。お前らに決定。」
驚く宗助と悠。しかし教室に響く拍手。
皆、自分でなければ誰でもよかったのだ。
悠は驚いて声も出なかったが、
宗助は違った。驚きながらも不服そうに
「えっ、なんで俺と田中なんですか?」
教師に尋ねた。教師の答えは
「ん?なんとなく…お前達、他にクラス委員とか部活とかしてないだろ?立候補者もいないし。頼むよ。」
宗助は納得がいかない顔をしていたが、
教室の空気はもう、この2人で決まり
という感じで、今更これを覆すことは
出来ないと宗助も観念した。
ホームルームの終わりを告げるチャイム。
「それじゃあ、来週から実行委員の集まりがあるから宜しくな。」
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(お金とかはかかりません。個人情報も大丈夫♪)
田中悠は不思議に思う。
相田宗助が登校してきただけで、
宗助を見ただけで、悠の心はじんわりと
温かくなる…。
クラスメイトではあるが、悠と宗助は
話しをした事も殆ど無い。
悠の一方的な片思い。
自分とでは釣り合わないからと諦めようと
何度も思ったが、そう思うたびに強くなる
宗助への秘めた想い。
しかし同姓というどうしようもない事実。
ただ何も出来ず、誰にも気付かれぬように
彼を見つめては悶々とする日々。
突然聞こえてくる声。
「…あぁ、アレをなんとかしたいわけか…。」
「うわっ!!」
悠は思わず声をあげてしまい、周囲にいた
女子の数名がクスクスと笑った。
悠は頬を赤くしたが、咳をしてごまかした。
学校に赤い石を持ってきたのは始めてだ。
つい忘れてしまっていた。
「アイツが欲しいんだろう?安心していいぜ。アイツはもうすぐお前のモノだ。」
赤い石の言葉をそのまま信じる事は
出来ないが、「何か」を期待している。
悠はそんな自分に戸惑いながら、
また宗助を見つめていた。
数日前の悠の部屋。
赤い石と悠が話をしていた。
「どう考えてもおかしな奇跡は起こせない。だが、偶然‥、あり得るような事は出来る。」
悠は意味は理解したが、それがどの程度か
想像できずにいた。そして尋ねる。
「…た、たとえば?」
「そうだな‥買っていない宝くじに当たる事は出来ない。だが、買った宝くじを当てることは出来る。」
悠は驚いたが、お金に執着がないのと、
この石の言う事を信じて大丈夫か?
という不安の方が強かった。
「あとは…人の意思をねじ曲げることは出来ない。しかし判断に迷うような本人にとって些細なことになら影響できる。」
悠はそれがどういう事なのか、
イマイチわからなかった。
それ以上に気になることがあった。
「…もし、何かして貰ったら、僕は…どうなるの?」
「何もない。俺はお前みたいなヤツの願いを叶える為の道具だからな。…まぁそっちは、気にしなくていい。」
数日後の教室。教壇に立つ担任教師。
ホームルームが行われている。
「体育祭の実行委員を誰にやってもらうかだけど‥やりたい人はいるかぁ?」
教師の言葉に反応する者はいない。
むしろ、殆どの生徒が教師と目をそらして
自分以外が実行委員になることを願った。
「うーん、どうしようかぁ…。あっ、そうだ。相田と田中。お前らに決定。」
驚く宗助と悠。しかし教室に響く拍手。
皆、自分でなければ誰でもよかったのだ。
悠は驚いて声も出なかったが、
宗助は違った。驚きながらも不服そうに
「えっ、なんで俺と田中なんですか?」
教師に尋ねた。教師の答えは
「ん?なんとなく…お前達、他にクラス委員とか部活とかしてないだろ?立候補者もいないし。頼むよ。」
宗助は納得がいかない顔をしていたが、
教室の空気はもう、この2人で決まり
という感じで、今更これを覆すことは
出来ないと宗助も観念した。
ホームルームの終わりを告げるチャイム。
「それじゃあ、来週から実行委員の集まりがあるから宜しくな。」
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