消えない傷51話
校舎の裏の細い道を足早に進む秋月。
その先には、誰も近づかない体育館の裏の空間がある。
かつて体育教師の小林が、肥満生徒である一盛に
性的な悪戯をしているところを偶然にも秋月が
目撃してしまった場所…。
そこに一盛の姿を求めて向かっているのだ。
辿り着いた体育館の裏。秋月が隠れて覗いた植え込みは
針葉樹なので濃い緑のまま健在だった。
秋月は、その植え込みに身を潜め、あの時と同様に、
恐る恐るゆっくりと、体育館の裏にあるアスファルトに
覆われた空間を覗き込んだ。
しかし…、そこに一盛や小林の姿は無い。
そうそう都合よく、彼らもこんな所にいないか…
秋月はため息をついてからまたアスファルトに覆われた
空間を眺める。
「あそこに一盛がいた。」
秋月はしばらくの間、そこで肥満少年の事を想いながら
アスファルトを見つめていた。
冷たい風が吹いても、ただ見つめていた。
どのぐらい時間が経ったかは解らないが、秋月は
ゆっくりと細い道を引き返して校舎へと戻る。
すでに外はかなり暗くなってきた。
いつまでもここで呆けて入られない。仕事をしないと。
校舎へ戻った秋月は階段を昇って3階にある、
数学準備室へ。その扉を開けて中に入るとソファに
人が座っている。大きな体をした、制服を着た生徒。
秋月はその後姿に驚いた。
「一盛…くん」
そう呼ばれて振り返る大きな肥満少年。一盛だ。
大きな身体の割には幼い顔で、何か困ったような
表情をしている。
「秋月先生、すいません。勝手に入って…」
準備室は基本的に生徒は出入り禁止なのだ。
秋月は扉を閉めながら準備室に入る。
「あ、ああ、構わないけど」
口ではなんとか平静を装ったが
秋月は自分の胸の激しい高鳴りに驚いていた。
あの豊満で、愛くるしい一盛が目の前に…。
秋月はただ彼と会えただけで激しい喜びを感じている
自分に戸惑った。だが、そんな秋月をよそに
一盛はもじもじしながら話し始める。
「あのぉ…先生に相談したいことがあって…」
「…相談?」
一盛の座っている古いソファとセットのテーブルに
向かい合うようにして、秋月は小さなパイプ椅子に
腰をかけた。一盛が瞳を潤ませながら再び話し始める。
「…は、はい。じつは…また小林先生に誘われて…でも、もう嫌なんです。先生、助けて下さい!!」
「そ、そういう事か‥。でも、どうして僕のところへ?」
「だってこの事を知っているのは秋月先生だけだし…あまり他の人に知られたくないし、先生なら助けてくれそうだから…。」
そういって大きな顔についた大きな丸い目を潤ませる。
その一盛の願いに戸惑う秋月。
この少年が自分を頼って来てくれた事が嬉しかったが
小林を何とかしてくれと言われても…
「それで、誘ってきたってどういう事?」
秋月はます事態を把握しようとする。
一盛は大きな身体をモジモジさせながら言う。
「はい、今度の週末に小林先生の家に来いって…」
「普通にお断りするのは駄目なのかな?」
秋月は一盛に伺うように聞いた。
だが、一盛は大きな顔を横に振って
「来なかったら、今までの事をバラすって…」
一盛の瞳から涙がこぼれた。
秋月は考え込んで少しの間、黙ってしまったが
「わかった。なんとかやってみるよ。」
と一盛を安心させるように笑顔を浮かべながら
答えたのだった。
↓ ポチっとして押して、開いてくる窓を閉じる。
どうかよろしく m(._.)m お願いします。
その先には、誰も近づかない体育館の裏の空間がある。
かつて体育教師の小林が、肥満生徒である一盛に
性的な悪戯をしているところを偶然にも秋月が
目撃してしまった場所…。
そこに一盛の姿を求めて向かっているのだ。
辿り着いた体育館の裏。秋月が隠れて覗いた植え込みは
針葉樹なので濃い緑のまま健在だった。
秋月は、その植え込みに身を潜め、あの時と同様に、
恐る恐るゆっくりと、体育館の裏にあるアスファルトに
覆われた空間を覗き込んだ。
しかし…、そこに一盛や小林の姿は無い。
そうそう都合よく、彼らもこんな所にいないか…
秋月はため息をついてからまたアスファルトに覆われた
空間を眺める。
「あそこに一盛がいた。」
秋月はしばらくの間、そこで肥満少年の事を想いながら
アスファルトを見つめていた。
冷たい風が吹いても、ただ見つめていた。
どのぐらい時間が経ったかは解らないが、秋月は
ゆっくりと細い道を引き返して校舎へと戻る。
すでに外はかなり暗くなってきた。
いつまでもここで呆けて入られない。仕事をしないと。
校舎へ戻った秋月は階段を昇って3階にある、
数学準備室へ。その扉を開けて中に入るとソファに
人が座っている。大きな体をした、制服を着た生徒。
秋月はその後姿に驚いた。
「一盛…くん」
そう呼ばれて振り返る大きな肥満少年。一盛だ。
大きな身体の割には幼い顔で、何か困ったような
表情をしている。
「秋月先生、すいません。勝手に入って…」
準備室は基本的に生徒は出入り禁止なのだ。
秋月は扉を閉めながら準備室に入る。
「あ、ああ、構わないけど」
口ではなんとか平静を装ったが
秋月は自分の胸の激しい高鳴りに驚いていた。
あの豊満で、愛くるしい一盛が目の前に…。
秋月はただ彼と会えただけで激しい喜びを感じている
自分に戸惑った。だが、そんな秋月をよそに
一盛はもじもじしながら話し始める。
「あのぉ…先生に相談したいことがあって…」
「…相談?」
一盛の座っている古いソファとセットのテーブルに
向かい合うようにして、秋月は小さなパイプ椅子に
腰をかけた。一盛が瞳を潤ませながら再び話し始める。
「…は、はい。じつは…また小林先生に誘われて…でも、もう嫌なんです。先生、助けて下さい!!」
「そ、そういう事か‥。でも、どうして僕のところへ?」
「だってこの事を知っているのは秋月先生だけだし…あまり他の人に知られたくないし、先生なら助けてくれそうだから…。」
そういって大きな顔についた大きな丸い目を潤ませる。
その一盛の願いに戸惑う秋月。
この少年が自分を頼って来てくれた事が嬉しかったが
小林を何とかしてくれと言われても…
「それで、誘ってきたってどういう事?」
秋月はます事態を把握しようとする。
一盛は大きな身体をモジモジさせながら言う。
「はい、今度の週末に小林先生の家に来いって…」
「普通にお断りするのは駄目なのかな?」
秋月は一盛に伺うように聞いた。
だが、一盛は大きな顔を横に振って
「来なかったら、今までの事をバラすって…」
一盛の瞳から涙がこぼれた。
秋月は考え込んで少しの間、黙ってしまったが
「わかった。なんとかやってみるよ。」
と一盛を安心させるように笑顔を浮かべながら
答えたのだった。
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