消えない傷 43話
台風の翌日。
市の郊外にある、大型家電店から太った少年が出てくる。
鈴木駿だ。背は低く、歩くたびに大きな胸が揺れる。
手には電機店の買い物袋。
それを自転車のカゴに大切そうに入れると鍵を解き、
急ぐようにして自転車に乗って家へと帰った。
駿は家に帰ると、すぐに自分の部屋に駆け込む。
そして父親が使わないからと言ってくれた
少し旧型のパソコンの電源を入れる。
駿はこのパソコンを一年以上前に貰ったが
自分で電源を入れたのは始めて。存在も忘れかけていた。
だが数日前に創太が来たときに、しばらくパソコンに触って
ネットに接続し何かをダウンロードしてくれた。
創太の話ではパソコンの用意は出来たのであとは、
マイクとカメラがあれば何時でもお互いの顔を見ながら
テレビ電話が無料で出来るという。
創太は北海道で暮らす駿と東京に住む自分の距離を考えて
準備していたのだ。
なので駿はパソコンに先程、家電店で買ってきた
マイクとカメラのセットを接続する。
駿はこれで大丈夫か不安だった。
なぜなら駿は機械が少し苦手で、
携帯電話も高校生なので持っているが
少し前まで
殆ど使う事もなかったほど。
最近は創太と一日に何度もメールしているが。
アイコンをクリックして起動してきた画面に
連絡先のリストが表示される。連絡先は一件、創太のみだ。
その連絡先を駿は少し緊張しながらクリックする。
すると画面が切り替わって大きなウィンドウと、
その右下に小さなウィンドウが現れる。
小さい方には自分の顔が半分ほど映っていた。
カメラの角度を調節して自分がきちんと映るようにする。
そうしていると大きなウィンドウに愛しい創太の顔が映る。
すぐにイヤホンから
「駿兄ちゃん、聞こえる?」
と、創太の声が聞こえた。
なんだか不思議な感じがしたが、
駿は創太がしっかりと用意してくれた事に感謝した。
そしてさらに緊張しながらマイクにむかって答える。
「創太聞こえるよ。」
すると画面の中にいる創太が笑顔になった。
駿はその笑顔を見ただけで、
込み上げてくる愛しさや寂しさを押さえきれなかった。
高校生には決して見えない童顔を紅潮させながら
両目から勢いよく涙がこぼれる…。創太が驚いて言う。
「えっ、に‥兄ちゃん?…泣いてるの?」
「‥っぐ…えっ…」
創太のイヤホンから駿の嗚咽たけが聞こえる。
かなり泣いているようだ。
それを聞いていると創太も寂しくて泣いてしまいそうな気持ちになった。
だが優しく駿を慰めるように言う。
「兄ちゃん、泣かないで。また冬休みになったら会えるから。」
駿はまだ涙で顔が濡れ、嗚咽を繰り返していたが、
ゆっくりと話し始める。
「…う、うん。待ってる。‥っう…絶対に‥来てね‥。僕のこと嫌いになってない?」
「なってないよ。ずっと好きなままだよ、兄ちゃんだけ。…兄ちゃんこそ浮気してないよね?」
創太が少し疑うような顔をわざと作って質問すると、
駿は慌てて
「う、浮気なんてしないよ。僕が好きなのは創太だけだよ。創太も浮気しないよね?」
駿の心配そうな顔が創太のパソコンのモニターに映る。
その丸い顔が創太は愛おしくてたまらなかった。
同時にカメラに写る駿の豊満な身体も手が届くなら
すぐに撫で回したい気持ちになっていた。
そして…
「…うん、しないよ。…ねぇ、兄ちゃん。せっかくモニターで見えるから僕…兄ちゃんのオッパイが見たいな。」
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市の郊外にある、大型家電店から太った少年が出てくる。
鈴木駿だ。背は低く、歩くたびに大きな胸が揺れる。
手には電機店の買い物袋。
それを自転車のカゴに大切そうに入れると鍵を解き、
急ぐようにして自転車に乗って家へと帰った。
駿は家に帰ると、すぐに自分の部屋に駆け込む。
そして父親が使わないからと言ってくれた
少し旧型のパソコンの電源を入れる。
駿はこのパソコンを一年以上前に貰ったが
自分で電源を入れたのは始めて。存在も忘れかけていた。
だが数日前に創太が来たときに、しばらくパソコンに触って
ネットに接続し何かをダウンロードしてくれた。
創太の話ではパソコンの用意は出来たのであとは、
マイクとカメラがあれば何時でもお互いの顔を見ながら
テレビ電話が無料で出来るという。
創太は北海道で暮らす駿と東京に住む自分の距離を考えて
準備していたのだ。
なので駿はパソコンに先程、家電店で買ってきた
マイクとカメラのセットを接続する。
駿はこれで大丈夫か不安だった。
なぜなら駿は機械が少し苦手で、
携帯電話も高校生なので持っているが
少し前まで
殆ど使う事もなかったほど。
最近は創太と一日に何度もメールしているが。
アイコンをクリックして起動してきた画面に
連絡先のリストが表示される。連絡先は一件、創太のみだ。
その連絡先を駿は少し緊張しながらクリックする。
すると画面が切り替わって大きなウィンドウと、
その右下に小さなウィンドウが現れる。
小さい方には自分の顔が半分ほど映っていた。
カメラの角度を調節して自分がきちんと映るようにする。
そうしていると大きなウィンドウに愛しい創太の顔が映る。
すぐにイヤホンから
「駿兄ちゃん、聞こえる?」
と、創太の声が聞こえた。
なんだか不思議な感じがしたが、
駿は創太がしっかりと用意してくれた事に感謝した。
そしてさらに緊張しながらマイクにむかって答える。
「創太聞こえるよ。」
すると画面の中にいる創太が笑顔になった。
駿はその笑顔を見ただけで、
込み上げてくる愛しさや寂しさを押さえきれなかった。
高校生には決して見えない童顔を紅潮させながら
両目から勢いよく涙がこぼれる…。創太が驚いて言う。
「えっ、に‥兄ちゃん?…泣いてるの?」
「‥っぐ…えっ…」
創太のイヤホンから駿の嗚咽たけが聞こえる。
かなり泣いているようだ。
それを聞いていると創太も寂しくて泣いてしまいそうな気持ちになった。
だが優しく駿を慰めるように言う。
「兄ちゃん、泣かないで。また冬休みになったら会えるから。」
駿はまだ涙で顔が濡れ、嗚咽を繰り返していたが、
ゆっくりと話し始める。
「…う、うん。待ってる。‥っう…絶対に‥来てね‥。僕のこと嫌いになってない?」
「なってないよ。ずっと好きなままだよ、兄ちゃんだけ。…兄ちゃんこそ浮気してないよね?」
創太が少し疑うような顔をわざと作って質問すると、
駿は慌てて
「う、浮気なんてしないよ。僕が好きなのは創太だけだよ。創太も浮気しないよね?」
駿の心配そうな顔が創太のパソコンのモニターに映る。
その丸い顔が創太は愛おしくてたまらなかった。
同時にカメラに写る駿の豊満な身体も手が届くなら
すぐに撫で回したい気持ちになっていた。
そして…
「…うん、しないよ。…ねぇ、兄ちゃん。せっかくモニターで見えるから僕…兄ちゃんのオッパイが見たいな。」
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