金豚の肉15
僕は龍之介君が母乳を出す光景に
驚きながらもこれは只事では無いと思った。
その様子を確認して小椋(先生)が
「・・・ちなみに彼はれっきとした
男子生徒だよ。
まずは・・・自己紹介かな。
できるか?龍之介。」
龍之介君はコクンと頷くと、
恥ずかしそうに頬を染めながら、
ティッシュで自分の乳首を拭いた。
そして捲っていたシャツとニットのベストを
戻して衣服を整える。きちんと服を着ても
豊満過ぎる身体の曲線が目につく子だ。
辿々しく内気そうな話し方で
「名前は・・・龍之介っていいます、
6年生です・・・。
担任の先生の勧めで5年生からずっと・・・
せ、生徒会に入ってます。」
かんたんに自己紹介してくれたが
もう何を話していいのか分からないのか、
目が泳いでいる。こめかみの辺りから
汗が一雫、肉つきの良い頬を垂れた
ところで小椋(先生)が
龍之介君の栗色のさらりとした髪を
撫でながら言う。
「まぁ龍之介はこんな感じの子だな。
仲良くしてやってくれ。
生徒会は私が担当しているので
去年から彼を知っているが、いい子だよ。」
たしかに龍之介君はなんとなく魅力的で
いい子そうだと僕は感じていた。
だが小椋(先生)と旧知の太い男子・・・。
恐らく僕は懐疑心に満ちた顔を
していたのだろう。
「ふぅ・・・白鳥先生は凄いな。
目は口ほどにものを言う、を
非常に高度に体現しているよ・・・。
まぁいい。ならば答えよう。
私は彼とは何もない。
純粋に生徒会顧問と生徒だ。
龍之介の属性は優等生色白メガネデブだと言える。
対して私のツボはわんぱく褐色糸目デブ。
これは似て非なる対極とも
言える存在だ。
故に私の食指が龍之介に
伸びることはない。」
途中から何を言っているのか
分からなかったが何となく理解はした。
小椋(先生)が続けて話す。
「今回、相談したい事があって来た。
じつはこの龍之介をしばらくこの小林旅館で
預かってやって欲しいのだ。」
僕は驚いて龍之介君を見た。
龍之介君のメガネの奥に見える
大きな瞳が申し訳なさそうに
潤んでいる。
「いいけどなんでだ?」
リン君があっさりと答えたのにも
僕は驚いたが、たしかに理由が聞きたい。
小椋(先生)が答える。
「龍之介は母子家庭だがお母さんが
ずっと体調を崩され入院されている。
まだ退院の目処もつかない。
龍之介1人を家におくのも・・・な。
本来なら施設などに入るところだが、
こんな寂れた田舎町にそんなものはない。
100キロ以上離れた街の施設に入る事に
なるとお母さんに会い来るのも難しくなり、
転校も必要になる。さてどうしようかと、
この田舎町の教師や大人達で
思案していたところで小林旅館の女将さん、
リンの母親が龍之介を預かってくれると
申し出てくれたわけだ。
龍之介の母親とも知り合いだそうだ。
まぁ狭い町だからな。」
そういう事情か・・・。
僕は龍之介君の身の上を聞いて、
見かけによらず苦労してるんだなぁと
同情しつつ、この旅館の女将が預かると
言っているなら息子のリン君はともかく、
客に過ぎない僕がどうこう言う事では
ないだろうとも思った。
リン君が明るい声で言った。
「どうせ空いてる部屋はまだたくさんあるし
みんなで暮らしたら楽しいかもな。
白鳥さんもいいか?」
僕はすぐに首を縦に振って
歓迎だよ、と答えた。
とたんに龍之介君の顔が
明るくなったのがはっきりとわかった。
「こ、これから宜しくお願いします。」
龍之介君は恥ずかしそうに
笑いながら僕に挨拶してくれたので
僕もよろしくねと答えた。
「うまくやっていけそうだな。
それでは私はこれで失礼するよ・・・。
あぁ、白鳥先生。少しいいですか。」
そう言って小椋(先生)が立ち上がり
部屋から出て行った。
僕は何だろうと思いながら
あとを追ってリン君と龍之介君を
残して部屋を出た。
小椋(先生)は小林旅館の玄関で
僕を待っていた。
そしていつもより少しだけ、
声をひそめて話し始めた。
「白鳥先生、龍之介の乳についてだが・・・。
数週間前から出始めたそうだ。
あくまで推測だが母親や自分の環境が
本人の自覚以上に龍之介のメンタルに
影響を与えた結果、肉体にも影響が出た
ということかも知れない。」
聞いたことはある。
つまり妊娠していると思い込むと
男性でもお腹が大きくなって母乳が出るとか。
実際に目にするのは初めてだが。
小椋(先生)が続ける。
「一言で言うとストレスの現れ、だな。
まぁそういう部分も踏まえて接した方が
いいかも知れんというアドバイスだよ。
では、さようなら白鳥先生。」
そう言い残して小椋(先生)は
帰って行った。
僕はなるほどと思い、
龍之介君の事とは慎重に接した方が
いいかも知れないなと思ったが、
事件は早速、その日の夜に起きた。
僕が眠ろうと1階の脱衣所近くの
洗面台で歯を磨いていた時に、
ちょうど龍之介君がやってきた。
「白鳥さん、もう寝るんですね。
おやすみなさい・・・。
僕は身体を流してから寝ますね。」
そう言って僕の後ろで服を脱ぎ始めた。
洗面台に向かって歯を磨く僕からは
鏡越しに龍之介君が見える。
優等生っぽい可愛い顔のメガネ男子のくせに
白い肉体は全身が脂肪で膨らんでいて
マシュマロのようだ。
とくに大きな胸は色気に満ちていた。
・・・この身体は反則だろうと思いつつ、
つい龍之介君に見惚れてしまった。
その僕に鏡越しに龍之介くんもニコリと
笑みを返してくれた。
僕は胸に何かが刺さるような感覚を覚えた。
いけないいけない。
そう思ってその場を去ろうとしたが、
気がつくと、ずっと龍之介くんは僕を見ていた。
驚きながらもこれは只事では無いと思った。
その様子を確認して小椋(先生)が
「・・・ちなみに彼はれっきとした
男子生徒だよ。
まずは・・・自己紹介かな。
できるか?龍之介。」
龍之介君はコクンと頷くと、
恥ずかしそうに頬を染めながら、
ティッシュで自分の乳首を拭いた。
そして捲っていたシャツとニットのベストを
戻して衣服を整える。きちんと服を着ても
豊満過ぎる身体の曲線が目につく子だ。
辿々しく内気そうな話し方で
「名前は・・・龍之介っていいます、
6年生です・・・。
担任の先生の勧めで5年生からずっと・・・
せ、生徒会に入ってます。」
かんたんに自己紹介してくれたが
もう何を話していいのか分からないのか、
目が泳いでいる。こめかみの辺りから
汗が一雫、肉つきの良い頬を垂れた
ところで小椋(先生)が
龍之介君の栗色のさらりとした髪を
撫でながら言う。
「まぁ龍之介はこんな感じの子だな。
仲良くしてやってくれ。
生徒会は私が担当しているので
去年から彼を知っているが、いい子だよ。」
たしかに龍之介君はなんとなく魅力的で
いい子そうだと僕は感じていた。
だが小椋(先生)と旧知の太い男子・・・。
恐らく僕は懐疑心に満ちた顔を
していたのだろう。
「ふぅ・・・白鳥先生は凄いな。
目は口ほどにものを言う、を
非常に高度に体現しているよ・・・。
まぁいい。ならば答えよう。
私は彼とは何もない。
純粋に生徒会顧問と生徒だ。
龍之介の属性は優等生色白メガネデブだと言える。
対して私のツボはわんぱく褐色糸目デブ。
これは似て非なる対極とも
言える存在だ。
故に私の食指が龍之介に
伸びることはない。」
途中から何を言っているのか
分からなかったが何となく理解はした。
小椋(先生)が続けて話す。
「今回、相談したい事があって来た。
じつはこの龍之介をしばらくこの小林旅館で
預かってやって欲しいのだ。」
僕は驚いて龍之介君を見た。
龍之介君のメガネの奥に見える
大きな瞳が申し訳なさそうに
潤んでいる。
「いいけどなんでだ?」
リン君があっさりと答えたのにも
僕は驚いたが、たしかに理由が聞きたい。
小椋(先生)が答える。
「龍之介は母子家庭だがお母さんが
ずっと体調を崩され入院されている。
まだ退院の目処もつかない。
龍之介1人を家におくのも・・・な。
本来なら施設などに入るところだが、
こんな寂れた田舎町にそんなものはない。
100キロ以上離れた街の施設に入る事に
なるとお母さんに会い来るのも難しくなり、
転校も必要になる。さてどうしようかと、
この田舎町の教師や大人達で
思案していたところで小林旅館の女将さん、
リンの母親が龍之介を預かってくれると
申し出てくれたわけだ。
龍之介の母親とも知り合いだそうだ。
まぁ狭い町だからな。」
そういう事情か・・・。
僕は龍之介君の身の上を聞いて、
見かけによらず苦労してるんだなぁと
同情しつつ、この旅館の女将が預かると
言っているなら息子のリン君はともかく、
客に過ぎない僕がどうこう言う事では
ないだろうとも思った。
リン君が明るい声で言った。
「どうせ空いてる部屋はまだたくさんあるし
みんなで暮らしたら楽しいかもな。
白鳥さんもいいか?」
僕はすぐに首を縦に振って
歓迎だよ、と答えた。
とたんに龍之介君の顔が
明るくなったのがはっきりとわかった。
「こ、これから宜しくお願いします。」
龍之介君は恥ずかしそうに
笑いながら僕に挨拶してくれたので
僕もよろしくねと答えた。
「うまくやっていけそうだな。
それでは私はこれで失礼するよ・・・。
あぁ、白鳥先生。少しいいですか。」
そう言って小椋(先生)が立ち上がり
部屋から出て行った。
僕は何だろうと思いながら
あとを追ってリン君と龍之介君を
残して部屋を出た。
小椋(先生)は小林旅館の玄関で
僕を待っていた。
そしていつもより少しだけ、
声をひそめて話し始めた。
「白鳥先生、龍之介の乳についてだが・・・。
数週間前から出始めたそうだ。
あくまで推測だが母親や自分の環境が
本人の自覚以上に龍之介のメンタルに
影響を与えた結果、肉体にも影響が出た
ということかも知れない。」
聞いたことはある。
つまり妊娠していると思い込むと
男性でもお腹が大きくなって母乳が出るとか。
実際に目にするのは初めてだが。
小椋(先生)が続ける。
「一言で言うとストレスの現れ、だな。
まぁそういう部分も踏まえて接した方が
いいかも知れんというアドバイスだよ。
では、さようなら白鳥先生。」
そう言い残して小椋(先生)は
帰って行った。
僕はなるほどと思い、
龍之介君の事とは慎重に接した方が
いいかも知れないなと思ったが、
事件は早速、その日の夜に起きた。
僕が眠ろうと1階の脱衣所近くの
洗面台で歯を磨いていた時に、
ちょうど龍之介君がやってきた。
「白鳥さん、もう寝るんですね。
おやすみなさい・・・。
僕は身体を流してから寝ますね。」
そう言って僕の後ろで服を脱ぎ始めた。
洗面台に向かって歯を磨く僕からは
鏡越しに龍之介君が見える。
優等生っぽい可愛い顔のメガネ男子のくせに
白い肉体は全身が脂肪で膨らんでいて
マシュマロのようだ。
とくに大きな胸は色気に満ちていた。
・・・この身体は反則だろうと思いつつ、
つい龍之介君に見惚れてしまった。
その僕に鏡越しに龍之介くんもニコリと
笑みを返してくれた。
僕は胸に何かが刺さるような感覚を覚えた。
いけないいけない。
そう思ってその場を去ろうとしたが、
気がつくと、ずっと龍之介くんは僕を見ていた。