金豚の肉1はじまり
そこには、少年。
ずいぶんと太った子供だ。
そして薄暗い玄関でも
はっきりとわかるほど
日に焼けた褐色の肌。
白いランニングシャツと、
ベージュのハーフパンツ。
肉の割れ目のような細い瞳で
こちらの様子を伺っている。
いかにも田舎にいそうな
素朴なデブ少年だなぁ・・・。
いまでは笑ってしまうが
あの時の僕はそんな風に
彼を見て感じた事をはっきりと
覚えている。
僕は教育実習でこの村にある小学校に来た。
まぁ大学を出ても教師になる気はないけど。
大学の附属の小学校がなぜ
こんな田舎にあるのかは分からない。
この寂れた田舎に一軒しかない宿。
ここが今日から1ヶ月ほどの滞在場所だ。
そして今。旅館の玄関。
目の前には太った子供。
きっとこの旅館の子供だ。
「すいません、白鳥と言います。
たぶん学校の名義で予約されてると
思うんですが・・・
あ、大人の人っていませんか?」
僕が尋ねるとすぐに少年が答えてくれた。
「さっき買い物に行っだ。今はオラだけだ。
こんな早えぇとは思わなかっただろな。
部屋は2階だよ。ついてきて。」
そう言うと丸い体をくるりと回転させ
建物の奥に進んでいく。
僕は慌てて跡を追う。
すぐに急な階段があり、
上から少年がこちらを見ている。
僕がその階段を上がると目の前には
数部屋の和室。
まぁこんな古い和風の建物なんだから
当然、部屋も和室だろうけど。
ドア・・・ではなくふすま?今どき?
防犯的にもプライバシーで考えても
あり得ないだろ!そう思ったが
この子の前ではそうも言えない。
太った少年はいくつかの部屋の
ひとつの前で立ち止まっている。
「ここだよ。ゆっくりしていって。」
また、くるりと回って
さらに奥の部屋へ。
僕の部屋だと言った部屋の隣。
ふすまをスッと開けると中に消えていった。
ありがとう、そう伝えることも
出来無いほどあっという間の事だった。
旅館の子供だから人を案内するのも
慣れてるのかな・・・。
そんな事を思いながら自分の部屋に入る。
中はやはり畳が敷かれた和室だったが、
玄関や廊下などよりいくらか新しさを
感じさせる。きれいな部屋だった。
畳に寝転がり目を閉じた。
今日は早朝からバスに乗って
何時間もかけてこの村に来た。
到着してすぐに配属先の学校に
挨拶に行き、ようやく解放されて
この宿にたどり着いたのだ。
やっていけるかなぁ。
そんな気持ちとともに
急激に眠気が。
やはり疲れていたようだ。
床にあった座布団に頬を乗せると
すぐに意識をなくしてしまった。
「お客さん、お客さん!すいませんねぇ。
ちょっくら買い出しに出てたもんで。
食事はこんな風に朝と夜は用意して
部屋に持っでぐるんで。
昼は学校で食べてくるでしょう?」
随分とふくよかな女性。
何か話しているが頭に入らない。
どうやら私が寝ている横に
布団を敷いているようだ。
ゆっくりと意識がはっきりしてくる。
「何もねぇとこだけんど
ゆっぐりしてってくださいねぇ?
風呂は一階の共同風呂をお好きなときに
使ってくださいな。
何か困った事があったら遠慮せずに
私に言ってくださいねぇ。」
一方的に話しながら布団を敷き終わると
そのまま部屋から出ていった。
今のはどうやらこの旅館の人か。
随分と太った女性。ここの女将か?
そう思いながら体を起こすと
テーブルの上に夕食が並んでいた。
いつのまにか運んできてくれたようだ。
まだ温かい。
意識がはっきりすると
今度は空腹を感じはじめる。
早速、食事を頂こうかと箸でいくつかの
料理を摘むと驚くほどどれも美味い。
しっかりとした量があったがすぐに
食べてしまった。
満腹になった僕は女将さんらしき人が
風呂は一階にあるという言葉を
残していったのを思い出し、
部屋の柱に着いた古い時計を見ると
7時を過ぎたところ。
まだ随分時間はあるが明日からの実習に
備えてさっさと風呂に入っておこうか。
スーツケースから着替えの下着を
用意して風呂に向かう。
一階の奥角に洗面所と脱衣所があった。
脱衣所には脱いだ服を入れるカゴが
6つあったがどれも使用されていない。
今のところ誰も入ってないようだ。
人を気にせずゆっくりできそうで良かった。
衣服を脱いでカゴに入れ、浴室に入る。
共同風呂といってもそれほど大きくはない。
シャワーのついた洗い場が3人分あり
湯船もやはり3倍程度か。
なんだか中途半端な広さだが
建物の古さのわりに風呂はキレイ
一人で使うには十分だ。
シャワーで頭から身体を流して洗い、
さっさと湯船に浸かった。
蛍光イエローっぽいお湯。
香りを嗅ぐ。昔からある市販の入浴剤。
まぁ、変なものより安心するなぁと
思った次の瞬間。ガラリと音がした。
誰か入ってきたのだ。
こんな旅館に他にも客がいたのかと
少し意外だったが出入り口を見ると、
さらに意外な光景が。
色黒の太った少年が裸で入ってきたのだ。
金豚の肉2を読む
ずいぶんと太った子供だ。
そして薄暗い玄関でも
はっきりとわかるほど
日に焼けた褐色の肌。
白いランニングシャツと、
ベージュのハーフパンツ。
肉の割れ目のような細い瞳で
こちらの様子を伺っている。
いかにも田舎にいそうな
素朴なデブ少年だなぁ・・・。
いまでは笑ってしまうが
あの時の僕はそんな風に
彼を見て感じた事をはっきりと
覚えている。
僕は教育実習でこの村にある小学校に来た。
まぁ大学を出ても教師になる気はないけど。
大学の附属の小学校がなぜ
こんな田舎にあるのかは分からない。
この寂れた田舎に一軒しかない宿。
ここが今日から1ヶ月ほどの滞在場所だ。
そして今。旅館の玄関。
目の前には太った子供。
きっとこの旅館の子供だ。
「すいません、白鳥と言います。
たぶん学校の名義で予約されてると
思うんですが・・・
あ、大人の人っていませんか?」
僕が尋ねるとすぐに少年が答えてくれた。
「さっき買い物に行っだ。今はオラだけだ。
こんな早えぇとは思わなかっただろな。
部屋は2階だよ。ついてきて。」
そう言うと丸い体をくるりと回転させ
建物の奥に進んでいく。
僕は慌てて跡を追う。
すぐに急な階段があり、
上から少年がこちらを見ている。
僕がその階段を上がると目の前には
数部屋の和室。
まぁこんな古い和風の建物なんだから
当然、部屋も和室だろうけど。
ドア・・・ではなくふすま?今どき?
防犯的にもプライバシーで考えても
あり得ないだろ!そう思ったが
この子の前ではそうも言えない。
太った少年はいくつかの部屋の
ひとつの前で立ち止まっている。
「ここだよ。ゆっくりしていって。」
また、くるりと回って
さらに奥の部屋へ。
僕の部屋だと言った部屋の隣。
ふすまをスッと開けると中に消えていった。
ありがとう、そう伝えることも
出来無いほどあっという間の事だった。
旅館の子供だから人を案内するのも
慣れてるのかな・・・。
そんな事を思いながら自分の部屋に入る。
中はやはり畳が敷かれた和室だったが、
玄関や廊下などよりいくらか新しさを
感じさせる。きれいな部屋だった。
畳に寝転がり目を閉じた。
今日は早朝からバスに乗って
何時間もかけてこの村に来た。
到着してすぐに配属先の学校に
挨拶に行き、ようやく解放されて
この宿にたどり着いたのだ。
やっていけるかなぁ。
そんな気持ちとともに
急激に眠気が。
やはり疲れていたようだ。
床にあった座布団に頬を乗せると
すぐに意識をなくしてしまった。
「お客さん、お客さん!すいませんねぇ。
ちょっくら買い出しに出てたもんで。
食事はこんな風に朝と夜は用意して
部屋に持っでぐるんで。
昼は学校で食べてくるでしょう?」
随分とふくよかな女性。
何か話しているが頭に入らない。
どうやら私が寝ている横に
布団を敷いているようだ。
ゆっくりと意識がはっきりしてくる。
「何もねぇとこだけんど
ゆっぐりしてってくださいねぇ?
風呂は一階の共同風呂をお好きなときに
使ってくださいな。
何か困った事があったら遠慮せずに
私に言ってくださいねぇ。」
一方的に話しながら布団を敷き終わると
そのまま部屋から出ていった。
今のはどうやらこの旅館の人か。
随分と太った女性。ここの女将か?
そう思いながら体を起こすと
テーブルの上に夕食が並んでいた。
いつのまにか運んできてくれたようだ。
まだ温かい。
意識がはっきりすると
今度は空腹を感じはじめる。
早速、食事を頂こうかと箸でいくつかの
料理を摘むと驚くほどどれも美味い。
しっかりとした量があったがすぐに
食べてしまった。
満腹になった僕は女将さんらしき人が
風呂は一階にあるという言葉を
残していったのを思い出し、
部屋の柱に着いた古い時計を見ると
7時を過ぎたところ。
まだ随分時間はあるが明日からの実習に
備えてさっさと風呂に入っておこうか。
スーツケースから着替えの下着を
用意して風呂に向かう。
一階の奥角に洗面所と脱衣所があった。
脱衣所には脱いだ服を入れるカゴが
6つあったがどれも使用されていない。
今のところ誰も入ってないようだ。
人を気にせずゆっくりできそうで良かった。
衣服を脱いでカゴに入れ、浴室に入る。
共同風呂といってもそれほど大きくはない。
シャワーのついた洗い場が3人分あり
湯船もやはり3倍程度か。
なんだか中途半端な広さだが
建物の古さのわりに風呂はキレイ
一人で使うには十分だ。
シャワーで頭から身体を流して洗い、
さっさと湯船に浸かった。
蛍光イエローっぽいお湯。
香りを嗅ぐ。昔からある市販の入浴剤。
まぁ、変なものより安心するなぁと
思った次の瞬間。ガラリと音がした。
誰か入ってきたのだ。
こんな旅館に他にも客がいたのかと
少し意外だったが出入り口を見ると、
さらに意外な光景が。
色黒の太った少年が裸で入ってきたのだ。
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