肉月~ニクツキ 17
翌日。教室に春のやわらかな日が差し込む。
壇上の教師が黒板を使って何かを説明している。
その説明を聞きながら多くの生徒はノートに
黒板の内容を書き写しているようだ。
その生徒達の中の一人に田中悠がいた。
他の生徒と同じように学生服をきているのだが、
身体が丸く、太っているので少々、目立つ。
しかし悠の手は止まったままだ。
悠の視線の先には同じく太った生徒がいる。
だが悠と違い、その生徒は茶色のサラサラした髪で
眉は細長く、瞳はキレイな二重だった。
肌色は白いが血色のよい、健康そうなキレイな肌。
眠たそうに授業を聞いている。名前は相田宗助。
【宗助くん…】
悠が心の中で呟くと、制服で見えないが、
麻紐のネックレスに包まれた赤い石が反応して、
悠の頭の中にだけ響く声で話す。
【…後悔しているのか?】
後悔…桜井との事だ。
昨日はあまりの興奮で何も考えられなかった。
凄く気持ちよかったし、初めての経験をする事ができた。
そして桜井はとても魅力的だった…だが。
昨日、知りあったばかりで、卑猥な行為をした事は
やはり安易というか…間違いだったのか?
今後、彼とどうなるのだろう。付き合ったりするのか?
…それは悠には考えられなかった。
なぜなら宗助がいるのだ。自分が心から好きなのは宗助だけだ。
そう改めて感じながら、宗助を見つめる悠だった。
【そういえば今日の放課後に、体育祭の実行委員の委員会があるんだった。宗助くん、憶えてるかな…】
悠のそんな心配は担任教師が下校前の
ホームルームで解消してくれた。
「あぁ、そういえば今日は体育祭実行委員会があるからな。えぇっと・・・あぁ、相田と田中だったな。ちゃんと行って来いよ。」
その言葉を聞いた宗助が、端正な顔を歪ませて、
酷く衝撃的な顔をしている。
「あぁー!!そうだった…ちっ、めんどくさっ。」
宗助はクスクスと笑うクラスメイト達の声を
気にも止めずに悪態をついた。
悠はどんな顔をすればいいのか解らず、ただ、
その場雰囲気に合わせて苦笑いをしていた。
だが、心の奥にずっと秘めてきた想いがある。
そう、これは宗助と親しくなるチャンスなのだ。
放課後の教室。
思い思いに雑談する生徒達。
宗助はまだ席についたまま一人でいた。
喧騒の中を悠は、まっすぐ宗助に向かって歩く。
「あ、あの…あ、相田くん。」
悠がそういうと、宗助が悠を振り返る。
瞬間…二人の視線が重なった。
そして宗助がニコリと笑う。八重歯が見えた。
だがそれは、明らかな愛想笑い。
それでも悠はその笑顔で心臓が止まりそうになる。
それ程、悠にとって宗助は特別な存在だった。
そんな悠の心を知るはずも無い宗助が淡々と話す。
「あ、委員会ね。ほんと、お互い面倒な事になったよなー。」
悠は何も応えることができず、ただ頷く。
宗助が席から立ち上がり、悠の横に立つ。
悠より少し背が低いのだが、悠の大きくて丸い肩を
ポンポンと優しく叩いて言う。
「まぁ、宜しくたのむわ。…じゃあ、行こうか。」
気だるそうに歩き出す宗助と、
その後を追う悠。
普段は使われていない教室で行われる
体育祭の実行委員会。
委員会といっても内容は毎年決まっており、
クラス対抗のリレーやマラソン、綱引きに、
組み体操などといったものだ。
実行委員の仕事は事前準備と当日、
プログラムの進行がスムーズに行われるように
それぞれのクラスを誘導したりする程度。
なので委員会の内容も話し合いというより、
当日までのスケジュールを伝達などだった。
1年生の実行委員達は始めての事なので、
一生懸命にメモを取っている。
田中悠もノートにメモをしている。
そのとなりで眠そうに説明を聞く宗助がいた。
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壇上の教師が黒板を使って何かを説明している。
その説明を聞きながら多くの生徒はノートに
黒板の内容を書き写しているようだ。
その生徒達の中の一人に田中悠がいた。
他の生徒と同じように学生服をきているのだが、
身体が丸く、太っているので少々、目立つ。
しかし悠の手は止まったままだ。
悠の視線の先には同じく太った生徒がいる。
だが悠と違い、その生徒は茶色のサラサラした髪で
眉は細長く、瞳はキレイな二重だった。
肌色は白いが血色のよい、健康そうなキレイな肌。
眠たそうに授業を聞いている。名前は相田宗助。
【宗助くん…】
悠が心の中で呟くと、制服で見えないが、
麻紐のネックレスに包まれた赤い石が反応して、
悠の頭の中にだけ響く声で話す。
【…後悔しているのか?】
後悔…桜井との事だ。
昨日はあまりの興奮で何も考えられなかった。
凄く気持ちよかったし、初めての経験をする事ができた。
そして桜井はとても魅力的だった…だが。
昨日、知りあったばかりで、卑猥な行為をした事は
やはり安易というか…間違いだったのか?
今後、彼とどうなるのだろう。付き合ったりするのか?
…それは悠には考えられなかった。
なぜなら宗助がいるのだ。自分が心から好きなのは宗助だけだ。
そう改めて感じながら、宗助を見つめる悠だった。
【そういえば今日の放課後に、体育祭の実行委員の委員会があるんだった。宗助くん、憶えてるかな…】
悠のそんな心配は担任教師が下校前の
ホームルームで解消してくれた。
「あぁ、そういえば今日は体育祭実行委員会があるからな。えぇっと・・・あぁ、相田と田中だったな。ちゃんと行って来いよ。」
その言葉を聞いた宗助が、端正な顔を歪ませて、
酷く衝撃的な顔をしている。
「あぁー!!そうだった…ちっ、めんどくさっ。」
宗助はクスクスと笑うクラスメイト達の声を
気にも止めずに悪態をついた。
悠はどんな顔をすればいいのか解らず、ただ、
その場雰囲気に合わせて苦笑いをしていた。
だが、心の奥にずっと秘めてきた想いがある。
そう、これは宗助と親しくなるチャンスなのだ。
放課後の教室。
思い思いに雑談する生徒達。
宗助はまだ席についたまま一人でいた。
喧騒の中を悠は、まっすぐ宗助に向かって歩く。
「あ、あの…あ、相田くん。」
悠がそういうと、宗助が悠を振り返る。
瞬間…二人の視線が重なった。
そして宗助がニコリと笑う。八重歯が見えた。
だがそれは、明らかな愛想笑い。
それでも悠はその笑顔で心臓が止まりそうになる。
それ程、悠にとって宗助は特別な存在だった。
そんな悠の心を知るはずも無い宗助が淡々と話す。
「あ、委員会ね。ほんと、お互い面倒な事になったよなー。」
悠は何も応えることができず、ただ頷く。
宗助が席から立ち上がり、悠の横に立つ。
悠より少し背が低いのだが、悠の大きくて丸い肩を
ポンポンと優しく叩いて言う。
「まぁ、宜しくたのむわ。…じゃあ、行こうか。」
気だるそうに歩き出す宗助と、
その後を追う悠。
普段は使われていない教室で行われる
体育祭の実行委員会。
委員会といっても内容は毎年決まっており、
クラス対抗のリレーやマラソン、綱引きに、
組み体操などといったものだ。
実行委員の仕事は事前準備と当日、
プログラムの進行がスムーズに行われるように
それぞれのクラスを誘導したりする程度。
なので委員会の内容も話し合いというより、
当日までのスケジュールを伝達などだった。
1年生の実行委員達は始めての事なので、
一生懸命にメモを取っている。
田中悠もノートにメモをしている。
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