消えない傷55話
放課後。冷たい風が木の葉を舞わせている。
秋月は住宅街に止めた車内でカーナビを操作していた。
一盛と小林について話す約束をしているのだ。
待ち合わせの時間より少し早く来た秋月は、
一盛の深刻な相談に悩みながらも、
放課後に彼と二人で会うという事に心が踊っていた。
ゆっくりと落ち着いて話せる場所・・・
最初に秋月の頭に浮かんだのはスターバックスや
プロントみたいな場所だったが、話の内容が
「体育教師による性的悪戯、その被害児童の相談」
となると、適切ではない。隣の席の人に聞かれる心配がない場所・・・。
一盛を待ちながら考える。
すると遠くからでもはっきりと解る、
大きな少年がこちらに向かって歩いて来る。一盛だ。
白の可愛いトレーナーと、中にチェックのシャツを合わせている。
背が高く、かなり太っている一盛だったが、顔が幼いので、
今どきの少年らしい服もよく似合った。
「こ・・、こんにちはぁ」
一盛は助手席のドアを開けながら少しぎこちなく挨拶し、
秋月も緊張して同じように応えてしまった。
そして秋月のトヨタ・アルファードがゆっくりと走り始める。
「あのさ・・・先に聞いておきたいんだけど・・・?」
最初に話したのは秋月だった。一盛は秋月の顔を見ながら、はい、と応える。
「その・・・以前に家まで送った日の事・・ほら、特別授業のあった・・・あの時は・・ゴメン。急にあんな事して・・」
秋月は勇気を振り絞って一盛にずっと言いたかった事を伝えた。
だが肥満少年からは
意外な返事が返ってくる。
「・・何がですか?」
冗談かと思って一盛の顔を覗き込む秋月。
だが一盛の顔は真剣だった。
「いや、あの・・・キスしたじゃない?」
そう言われて、ようやく一盛も秋月が何の話をしているかわかったようだ。
「・・あの時は・・・ゴメンなさい。先生があんな事するなんて思わないから・・びっくりして・・本当にゴメンなさい。」
秋月は一盛の意外な反応に戸惑った。
そして同時に、また同じような事をしても、
許されるかもしれないという想いが
静かに沸き起こり始めた瞬間でもあった。
「どこか行きたいとこある?」
秋月が聞くと一盛は首を振る。
秋月は思案した挙句、市内の山に展望の良い公園があり、
車で行けるのでデートコースとして有名と雑誌で見た事を
思い出してそこに行って見る事にした。
夜間は恋人達が乗る車で公園の駐車場に点々と車が止まっているそうだ。
まだ夕方前なので、それほど人もいないだろうし、
車内なら会話を聞かれる心配も無い。
そこへ向かう間、お互いの最近の近況や、秋月が一盛のクラスに同行で修学旅行に
行くことになった事などを話した。
そして15分ほどで辿り着いた公園は、やはりまだ誰もいない。
そして雑誌の紹介どおりの素晴らしい景色だった。一盛も歓声を上げる。
「うわぁ…キレイ。」
ちょうど夕日が山に落ちかけ、オレンジに染まる世界と、
眼下に見下ろす街に少しずつ灯っていく明かり。
美しい景色を秋月も楽しんだが、それ以上に一盛の無邪気な横顔や、
豊満な身体から出る、まるで誘うような淫靡な体臭に魅せられていた。
小林について話をしないといけないのに…。
そう思っても、もう欲望を抑えられない。秋月は助手席に手を伸ばし、
一盛の右手に優しく触れる。そして一盛の顔を覗き込む。
先程まで景色に感動していた笑顔が消えた。
だが、その表情は拒絶しているようでも無い、と秋月は感じた。
さらに触れている手優しく握る。一盛の温もりが伝わる。
そして握った手を自分の身体の方へゆっくりと運ぶ。
一盛はただ、されるがままになっている。
秋月は自分の鼓動が爆発しそうなほど興奮している事を実感しながら、
握った大きな手に唇をつけた。
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秋月は住宅街に止めた車内でカーナビを操作していた。
一盛と小林について話す約束をしているのだ。
待ち合わせの時間より少し早く来た秋月は、
一盛の深刻な相談に悩みながらも、
放課後に彼と二人で会うという事に心が踊っていた。
ゆっくりと落ち着いて話せる場所・・・
最初に秋月の頭に浮かんだのはスターバックスや
プロントみたいな場所だったが、話の内容が
「体育教師による性的悪戯、その被害児童の相談」
となると、適切ではない。隣の席の人に聞かれる心配がない場所・・・。
一盛を待ちながら考える。
すると遠くからでもはっきりと解る、
大きな少年がこちらに向かって歩いて来る。一盛だ。
白の可愛いトレーナーと、中にチェックのシャツを合わせている。
背が高く、かなり太っている一盛だったが、顔が幼いので、
今どきの少年らしい服もよく似合った。
「こ・・、こんにちはぁ」
一盛は助手席のドアを開けながら少しぎこちなく挨拶し、
秋月も緊張して同じように応えてしまった。
そして秋月のトヨタ・アルファードがゆっくりと走り始める。
「あのさ・・・先に聞いておきたいんだけど・・・?」
最初に話したのは秋月だった。一盛は秋月の顔を見ながら、はい、と応える。
「その・・・以前に家まで送った日の事・・ほら、特別授業のあった・・・あの時は・・ゴメン。急にあんな事して・・」
秋月は勇気を振り絞って一盛にずっと言いたかった事を伝えた。
だが肥満少年からは
意外な返事が返ってくる。
「・・何がですか?」
冗談かと思って一盛の顔を覗き込む秋月。
だが一盛の顔は真剣だった。
「いや、あの・・・キスしたじゃない?」
そう言われて、ようやく一盛も秋月が何の話をしているかわかったようだ。
「・・あの時は・・・ゴメンなさい。先生があんな事するなんて思わないから・・びっくりして・・本当にゴメンなさい。」
秋月は一盛の意外な反応に戸惑った。
そして同時に、また同じような事をしても、
許されるかもしれないという想いが
静かに沸き起こり始めた瞬間でもあった。
「どこか行きたいとこある?」
秋月が聞くと一盛は首を振る。
秋月は思案した挙句、市内の山に展望の良い公園があり、
車で行けるのでデートコースとして有名と雑誌で見た事を
思い出してそこに行って見る事にした。
夜間は恋人達が乗る車で公園の駐車場に点々と車が止まっているそうだ。
まだ夕方前なので、それほど人もいないだろうし、
車内なら会話を聞かれる心配も無い。
そこへ向かう間、お互いの最近の近況や、秋月が一盛のクラスに同行で修学旅行に
行くことになった事などを話した。
そして15分ほどで辿り着いた公園は、やはりまだ誰もいない。
そして雑誌の紹介どおりの素晴らしい景色だった。一盛も歓声を上げる。
「うわぁ…キレイ。」
ちょうど夕日が山に落ちかけ、オレンジに染まる世界と、
眼下に見下ろす街に少しずつ灯っていく明かり。
美しい景色を秋月も楽しんだが、それ以上に一盛の無邪気な横顔や、
豊満な身体から出る、まるで誘うような淫靡な体臭に魅せられていた。
小林について話をしないといけないのに…。
そう思っても、もう欲望を抑えられない。秋月は助手席に手を伸ばし、
一盛の右手に優しく触れる。そして一盛の顔を覗き込む。
先程まで景色に感動していた笑顔が消えた。
だが、その表情は拒絶しているようでも無い、と秋月は感じた。
さらに触れている手優しく握る。一盛の温もりが伝わる。
そして握った手を自分の身体の方へゆっくりと運ぶ。
一盛はただ、されるがままになっている。
秋月は自分の鼓動が爆発しそうなほど興奮している事を実感しながら、
握った大きな手に唇をつけた。
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